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東京地方裁判所 平成5年(ワ)5283号 判決

原告

三上憲治

被告

森居健

ほか一名

主文

一  被告森居健は、原告に対し、金八四〇万七五一三円及びこれに対する平成二年七月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告東京海上火災保険株式会社は、原告と被告森居健との間の本判決が確定したときは、原告に対し、金八四〇万七五一三円及びこれに対する平成二年七月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は、これを二分し、その一を原告の、その余を被告らの各負担とする。

五  この判決は、第一項及び第二項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一原告の請求

一  被告森居健は、原告に対し、金一八〇六万三二〇〇円及びこれに対する平成二年七月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告東京海上火災保険株式会社は、原告と被告森居健との間の本判決が確定したときは、原告に対し、金一八〇六万三二〇〇円及びこれに対する平成二年七月二一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  訴訟費用の被告らの負担及び仮執行宣言

第二事案の概要

一  本件は、軽四輪貨物自動車が赤信号に基づき停止していたところ、普通乗用車から追突されたことから、軽四輪貨物自動車の運転者が、普通乗用自動車の運転者及びその任意保険会社を相手に人損について賠償を求めた事案である。

二  争いのない事実等

1  本件交通事故の発生

事故の日時 平成二年七月二一日午後一一時三五分ころ

事故の場所 東京都板橋区小豆沢四丁目一八番一四号先路上

加害者 被告森居健(加害車両運転)

加害車両 普通乗用自動車(練馬五二な一三一八)

被害者 原告(被害車両運転)

被害車両 軽四輪貨物自動車(大宮四〇つ五三二〇)

事故の態様 被害車両が前記路上において赤信号に基づき停止していたところ、加害車両が被害車両に追突した。

2  責任原因

(1) 被告森居健は、前方注視義務を怠り、加害車両を運転して被害車両に追突した。また、加害車両の保有者でもある。

(2) 被告東京海上火災保険株式会社は、被告森居健と加害車両について任意保険を締結している。

3  損害の填補(一部)

原告は被告らから休業損害として三五四万四五五一円の填補を受け、また、板橋中央総合病院及び岩槻中央病院(平成三年三月三一日までの分)の治療費合計一三五万九六四五円は被告らが負担した(乙七により認める。)。

三  本件の争点

本件の争点は、原告が本件事故により被つた損害の額である。

1  原告

原告は、本件事故により頸椎捻挫、第五腰椎分離症等の傷害を受け(少なくとも、既往の無症状腰椎分離症が本件事故により顕在化し)、事故翌日の平成二年七月二二日から同年八月八日までは板橋中央総合病院に、同日から同年九月一日までは岩槻中央病院にそれぞれ入院し、また、同日から症状が固定した平成三年一〇月一八日まで同病院に通院し、さらには、平成二年一〇月から右症状固定日まで合計一三〇回清水指圧治療院に通院したが、腰痛等の後遺障害が残り、このため、次の損害を受けた。

(1) 治療関係費

〈1〉 病院治療費(原告負担分) 五万一四七〇円

内訳 南春日部中央病院分八一七〇円、岩槻中央病院分四万三三〇〇円

〈2〉 清水指圧治療院の治療費 四八万〇五〇〇円

〈3〉 入院付添費 三万六〇〇〇円

ただし、入院当日から一〇日間、原告の妻が付き添つた分

〈4〉 入院雑費(一日当たり一二〇〇円。四二日分) 五万〇四〇〇円

〈5〉 通院交通費 一七万八五六〇円

内訳 岩槻中央病院通院分三万〇三六〇円、清水指圧治療院通院分一四万八二〇〇円

〈6〉 医師への謝礼 三万六五五九円

〈7〉 腰椎装具等購入費 七万三七〇九円

(2) 休業損害 四四八万三七〇一円

原告は、日本自動車運転士労働組合池袋分会に所属する派遣運転士であり、本件事故前三ヵ月には合計二〇八万二一一二三円の収入を得ていたところ、事故当日から前記症状固定日までのうち三七二日間休業し、このため八〇二万八一九二円の休業損害が生じた。ただし、被告らから休業損害として三五四万四四九一円を受領したから、未払いの休業損は右のとおりである。

(3) 逸失利益 七三一万二三〇一円

原告は、本件事故による腰痛等のため、長時間の運転が困難となり、実際の収入が相当低下し、少なくとも症状固定日から五年間、労働能力が二〇パーセント喪失したというべきであるから、前記の本件事故前三ヵ月の収入を基礎にライプニツツ方式により算定すると、本件事故による逸失利益は、七三一万二三〇一円となる。

(4) 慰謝料 四一六万〇〇〇〇円

原告は、本件事故により入院四二日、通院一四ヵ月を強いられたから、その慰謝料として一〇〇万円、また、一一級相当の後遺症が残つたから、その慰謝料として三一六万円が相当である。

(5) 弁護士費用 一二〇万円

2  被告

(1) 治療関係費

清水指圧治療院の治療は対処療法に過ぎないから、通院費用は加害者の負担とすべきではない。

また、妻の入院付添の必要性及び腰椎装具等購入の必要性をいずれも否認する。

医師への謝礼は過大である。

(2) 休業損害

治療遷延化の原因は原告の私病にあり、原告主張の休業日数は過大である。また、休業損害を算定するに当たつては、事故前年の年収を基礎とすべきである。

(3) 逸失利益

原告が本件事故により腰椎分離症となつたこと及び労働能力が二〇パーセント喪失したことはいずれも否認する。腰椎分離症は原告の既往症(私病)である。なお、原告はXP上異常は認められず、その愁訴に基づき、原告の本件事故による後遺症は一四級一〇号と事前認定がされている。

(4) 慰謝料

一一級相当の後遺症が残つたことを前提とする慰謝料は否認する。

第三争点に対する判断

一  原告の傷害の程度

1  原告主張の損害を検討するに当たり、原告の傷害の程度が共通して問題となるのでこの点を検討すると、甲二の1ないし4、一一、一三の1ないし3、乙一ないし四、一一、一二の1ないし15、一三の1ないし44、一五、一六、原告本人によれば、次の事実が認められる。

(1) 本件事故は、原告が前車に続いて赤信号のため停止したところ、加害車両から追突を受け、その弾みで前車と追突し、さらに前車がその前の車に追突するという玉突き衝突であつた。本件事故のため被害車両は、後部バンパーのみならず、フレームが曲がつて後部扉が開かなくなり、廃車となつた。原告は、シートベルトを締めていたが本件事故のためハンドルに顔を打ち、また、第五腰椎付近に相当の衝撃を受け、このため、頭部、頸部、腰部が痛み、意識が朦朧として歩行困難となつたため、救急車により板橋中央総合病院に運ばれた。

(2) 原告は、本件事故翌日の平成二年七月二二日から板橋中央総合病院において頸椎捻挫、腰部打撲の傷病名で入院加療を受けた。当日のX線撮影によれば、第一腰椎と第二腰椎の間隔が狭いとの疑義があつたが、担当医は、骨折等の異常所見は特に認められないとの所見であつた。原告は、初診時に頸部と腰部に疼痛を訴え、左上肢のシビレ感があり、湿布や頸部牽引、超音波照射等の治療を受けたが、頸部痛及び腰痛が持続し、同病院が遠隔地にあることから、同年八月八日に同病院から岩槻中央病院に転入院した。

(3) 岩槻中央病院では、原告は、頸椎捻挫、腰部打撲の傷病名で入院した。同院では、初診時に頸から肩にかけてと腰部に疼痛を訴え、湿布処置、キシロカインの局部注射、牽引等の治療が行われた。原告の腰痛は八月一一日ころから緩和されたが、頸部痛や肩痛が持続したまま九月一日に退院した。その後も同病院で通院治療を受け、一〇月一日には腰痛が八割程度緩和したとの印象であつたが、左肩から頸部にかけての痛みが持続した。原告は清水指圧治療院で整体を受けたところ痛みが緩和されたので、同月二九日、岩槻中央病院の担当医は、整体治療を同意し、整体を併用して様子を見ることとした。

(4) 原告は、一〇月二六日に埼玉中央病院で一度だけ診断を受けたが、神経学的な異常は認められなかつた。岩槻中央病院の通院も継続して行い、徐々に身体を慣らす意味で平成三年一月に車の運転をしたが、二時間の運転により腰に針がささつた感じがし、振動で頸、腰に痛みを感じた。しかし、二月に入つて普段はかなり良くなつたこと及び休業保障を打ち切られたことから、同月五日から勤務を開始した。そして、トラツクの横にのつて交代で運転したが未だ運転により腰痛がするので、オートマチツクのベンツの運転を担当することとなつた。三月ころからは、整体をすると大分耐えられるようになつたが、なお、重いものを持つと頸痛がし、X線撮影の結果、頸部には異常がないものの、第一腰椎と第二腰椎との間に狭小がみられた。四月からは、一月に二回の割合で同病院に通院し、五月下旬に大型トラツクに長時間乗つてみたところ、頸痛や腰痛がした。七月五日に同病院の朝永医師は、三月一六日に撮影したX線写真を見て、原告には第五腰椎分離症があることを認めた。もつとも、その後の診療録には、「外傷性腰椎分離症」と記載した後「外傷性」の文字を削除したものや、追突で外傷性の分離症はありえないと思うとの記載がある。九月二〇日のMRI検査によれば、第一腰椎から第五腰椎にかけて随所に推間板の椎体への突出がみられ、また、椎体は変形傾向が見られるとの所見であつた。

(5) その後も原告の症状に変化が見られないことから、一〇月四日、同病院の担当医は、保存的加療を続けているが重量物保持のような作業は望ましくないとの診断をし、同月一八日、傷病名を頸椎捻挫、腰椎打撲(腰椎分離症を合併)とし、腰痛、腰椎部運動障害、荷重機能障害等の後遺障害を残すとの症状固定の診断をした。

右症状固定時においても、原告は、腰痛、左下肢痛がし、重い荷物を扱う仕事をすることができず、また、運転席に座り続けることも困難である。その他、頭及び頸の左半分、肩、左指等にも痛みがあり、腰痛等の緩和のため、週に一、二度は清水指圧治療院に通つている。原告は、これらの痛みを本件事故前には感じたことがなかつた。

(6) 岩槻中央病院の担当医は、原告代理人の照会に対し、第五腰椎分離症は事故によつて生じたものかどうか不明であるが、事故による外傷性分離症を完全に否定することができない、原告には無症状の第五腰椎分離症の既往症があり、本件事故に起因して腰痛等の症状を表すことも考えられるとの回答をした。なお、東京海上メデイカルサービス株式会社の佐藤雅史医師は、通常の腰部打撲だと三週間ないし三カ月で治癒し得ること、及び平成二年七月二二日のX線撮影で写された分離部の上下は既に硬化像を示していて新鮮な骨折ではないことから、原告の腰痛は分離症ないしは他の腰椎の障害であると考えられるとの意見である。

以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

2  右事実に基づき検討すると、原告には、症状固定後も腰痛、左下肢痛、荷重機能障害等の症状が残存するところ、乙八ないし一〇、一四によれば、脊椎分離症は、繰り返しの身体の捩れなどによる疲労骨折やそれを引き起こす遺伝的素質などに起因することが多く、また、第五腰椎に多発するものであり、成人の六ないし八パーセントに見られるものであること、脊椎分離により常に腰痛を引き起こすとは限らず無痛性のものもあることが認められるのであり、このことに、前示の岩槻中央病院の担当医の回答及び佐藤雅史医師の意見、原告の身体の本件事故前の状態、並びに原告が本件事故により相当の衝撃を受けたこと(前示本件事故の態様及びその直後の原告の症状から認める。)を総合すると、原告には、本件事故前から無症状の第五腰椎分離症の既往症があつたが、本件事故に起因して腰痛等の症状を表すこととなつたもの、すなわち本件事故と原告の後遺障害との間には因果関係があると認めるのが相当である。

3  原告は、右後遺障害は後遺障害別等級表一一級七号に該当すると主張するようであるが、前認定事実によれば、第五腰椎分離症が素因となつて腰痛等の症状が現れたのであり、一二級一二号にいう「局部に頑固な神経症状を残すもの」と認めるのが相当である。この点、自算会大宮調査事務所は一四級一〇号と事前認定しているが(乙五により認める。)、原告の腰痛や荷重機能障害は、第五腰椎の分離という物理的な損傷に起因し、永続性、頑固性が認められるから、一二級一二号に該当すると認めるのが適切である。そして、脊椎分離症が成人の六ないし八パーセントに見られること、及び前示の事故の衝撃の強さからすると、右既往症が腰痛の素因となつているとしても、そのことを理由として損害額全体を控除するのは相当ではなく、この点は、慰謝料の斜酌事由に止めることとする。

二  治療費関係 八二万五三二九円

1  治療費

甲四の4ないし12によれば、原告は、平成二年一〇月一一日から平成四年三月一九日までの間に岩槻中央病院に四万三三〇〇を支払つたことが認められる。原告が本件事故のため南春日部中央病院に通院したことを認めるに足りる証拠はない。

2  清水指圧治療院の治療費

甲五の1ないし129によれば、原告は、整体のため、平成二年一〇月一八日から症状が固定した平成三年一〇月一八日までの間に一二九回清水指圧治療院に通院し、少なくとも原告が主張する四八万〇五〇〇円を支払つたことが認められる。そして、前認定のとおり、岩槻中央病院の担当医は、原告が清水指圧治療院に通院することに同意し、また、同院で整体を受けることにより原告の腰痛が緩和されたことから、同院に対する症状固定時までの治療費は、本件事故と相当因果関係のあるものと認める。

3  入院付添費

原告本人によれば、原告が板橋中央総合病院に入院中、一〇日間ほどその妻が付き添つたことが認められるが、原告の年齢、前示傷害の程度に照らし、これに要する費用は、独立の損害として認めるのは相当ではなく、慰謝料の斟酌事由に止めることとする。

4  入院雑費

板橋中央総合病院及び岩槻中央病院における入院の雑費として、一日当たり一二〇〇円として四二日間に合計五万〇四〇〇円を要したものと認める。

5  交通費

原告本人及び弁論の全趣旨によれば、原告は、前示岩槻中央病院への六九回の通院のため一回当たり四四〇円の交通費を、また、清水指圧治療院への一二九回の通院のため一回当たり一一四〇円の交通費を要し、合計一七万七四二〇円を支払つたことが認められる。

6  医師への謝礼

原告本人によれば、原告が医師等に三万円以上の謝礼をしたことが認められるが、原告の傷害の程度に照らし、本件事故と相当因果関係のある損害とは認められない。

7  腰椎装具等購入費

甲六の1ないし16、原告本人によれば、原告は、平成二年一二月二七日から平成三年一二月一二日までの間に、清水指圧治療院の指示に基づき、腰椎装具、冬季用マツト等を購入し、合計七万三七〇九円を要したことが認められる。そして、前示の原告の症状に鑑み、これらの出費は本件事故と相当因果関係があるものと認める。

三  休業損害 七八万四一七二円

1  甲九の1ないし13(各孫番を含む。)、一〇の1ないし4、一一、一二の1ないし4、原告本人によれば、原告は、日本自動車運転士労働組合池袋分会に所属する派遣運転士であり、平成元年一一月には甲種高圧ガス移動監視者講習を修了し、また、平成三年二月までには甲種、乙種、丙種のすべての危険物取扱者免状を取得し、その有する大型一種、二種、大型特殊自動車運転免許と相まつて、幅広い派遣運転士としての活動を行い、昭和六三年度は四七三万三一一三円、平成元年度は三二〇万〇八四二円、平成二年度は三六八万一五七四円、平成三年度は本件事故に遇うまでの間に四〇〇万二七九一円の給与を得てきたこと、特に、本件事故前三ケ月の収入は二〇八万二三一三円であつたこと、原告は、本件事故前は平均して一月当たり二二日勤務していたが、本件事故翌日から平成三年二月四日までの一九八日間は休業し、翌五日に勤務を再開したが、通院等のため症状が固定した同年一〇月一八日までの二五五日間に九八日間勤務したに止まることが認められる。

2  右認定事実に基づき、症状固定時までの休業損害を検討すると、まず、原告の収入は年ごとに相当ばらつきがみられるが、各種免許の取得時期も斟酌すると、本件事故の年とその前年の収入を平均して、休業損害算定の基礎年収を次の計算どおり四九四万五七二五円とするのが相当である。

計算 (368万1574+400万2791)÷(365+202)×365=494万6725

次に、原告の平成三年二月五日以降の休業した日については、本件事故前の通常の勤務形態において一カ月平均二二日勤務したこと、及び前示の年間収入を三六五日に分けて計算することから、次の計算により一二一・四日とし、同月四日までの一九八日を合計して、原告の休業日数を三一九・四日として算定するのが相当である。

計算 255-98÷22×30≒121.4

3  そうすると、原告の休業損害は、次の計算により、四三二万八七二三円となる。

計算 494万6725÷365×319.4=432万8723

そして、原告が被告らから休業損害として填補を受けた三五四万四五五一円を控除して請求しているから、右控除後の休業損害は、七八万四一七二円となる。

四  逸失利益 二九九万八〇一二円

前認定の事実によれば、原告は、本件事故による腰痛等一二級一二号に該当する後遺障害のため、長時間の運転や重いものの運搬が困難となつたのであり、原告が主張する症状固定日から五年間は労働能力が一四パーセント喪失したというべきである。そこで、前記の年収を基礎にライプニツツ方式により算定すると、本件事故による逸失利益は、二九九万八〇一二円となる。

計算 494万6725×0.14×4.329=299万8012

五  慰謝料 三〇〇万円

原告の前示の入通院の日数、治療の経過及び入院中に原告の妻が付き添つたこと、入通院の遷延の原因に原告の脊椎分離症の素因があることを総合して鑑みれば、入通院(傷害)慰謝料としては、原告の主張する一〇〇万円は下らないものと認められる。また、前示後遺障害の部位、程度、内容、及び右素因を斟酌すると、後遺症慰謝料としては二〇〇万円が相当である。

六  弁護士費用

本件の事案の内容、審理経過及び前示認容し得る損害額(合計は、七六〇万七五一三円である。)等の諸事情に鑑み、原告の本件訴訟追行に要した弁護士費用は、金八〇万円をもつて相当と認める。

第四結論

以上の次第であるから、原告の本件請求は、被告ら各自に対し(被告東京海上火災保険株式会社に対しては、被告森居健に対する本判決が確定することを条件として)、金八四〇万七五一三円及びこれに対する本件事故の日である平成二年七月二一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるが、その余の請求は理由がないから棄却すべきである。

(裁判官 南敏文)

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